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新入社員の給与計算と入社手続き完全ガイド【2026年版】

4月は新入社員を迎える季節です。入社手続きでは社会保険の届出から最初の給与計算まで、短期間に多くの事務作業が発生します。

本記事では、中小企業の給与計算担当者・経理担当者向けに、新入社員の入社手続きから初回の給与計算までの流れを2026年の最新制度に基づいて解説します。

入社前に準備すべき書類チェックリスト

新入社員から入社時に受け取る書類は多岐にわたります。漏れのないよう、チェックリストを活用しましょう。

  • 雇用契約書(労働条件通知書):賃金、就業場所、勤務時間、休日等を明示
  • マイナンバー:社会保険届出・源泉徴収に必要
  • 給与振込口座届:銀行名・支店名・口座番号
  • 給与所得者の扶養控除等(異動)申告書:源泉徴収の計算に必要
  • 通勤手当申請書:通勤経路と交通費の確認
  • 年金手帳(基礎年金番号通知書):厚生年金の届出に使用
  • 雇用保険被保険者証:中途入社の場合(新卒は不要)
  • 源泉徴収票:中途入社で前職がある場合
  • 健康診断書:入社時健康診断(雇入れ時の健康診断は法定義務)

扶養控除等申告書は、2026年から「源泉控除対象親族」の所得要件が48万円以下から58万円以下に変更されています。最新の様式を使用してください。

社会保険の届出(入社から5日以内)

健康保険・厚生年金保険の資格取得届

新入社員の入社日から5日以内に、健康保険・厚生年金保険の「被保険者資格取得届」を管轄の年金事務所(または健康保険組合)に届け出ます。

届出に必要な主な情報は以下のとおりです。

  • 氏名・生年月日・性別
  • マイナンバーまたは基礎年金番号
  • 資格取得年月日(入社日)
  • 報酬月額(基本給+通勤手当+各種手当の見込み額)
  • 被扶養者がいる場合は「被扶養者(異動)届」も同時提出

雇用保険の資格取得届

雇用保険の「被保険者資格取得届」は、入社日の属する月の翌月10日までにハローワークへ届け出ます。

週の所定労働時間が20時間以上、かつ31日以上の雇用見込みがある従業員が対象です。

2026年の変更点:子ども・子育て支援金の追加

2026年4月から子ども・子育て支援金(支援金率0.23%)の徴収が開始されました。社会保険の届出自体に変更はありませんが、新入社員の給与計算では健康保険料に加えてこの支援金の控除が必要です。

詳しくは「子ども・子育て支援金とは?給与計算での対応方法をわかりやすく解説」をご覧ください。

届出の電子申請

社会保険・雇用保険の届出はe-Gov電子申請またはGビズIDを利用した電子申請が可能です。窓口に出向く必要がなく、24時間提出できるため、忙しい入社シーズンには電子申請の活用がおすすめです。

最初の給与計算のポイント

締め日・支払日のパターン別の考え方

初回給与の計算方法は、会社の締め日と支払日によって異なります。

締め日・支払日4月1日入社の場合
月末締め・翌月25日払い5月25日に4月分(1ヶ月分)を支給
月末締め・当月25日払い4月25日に4月分(1ヶ月分)を支給
15日締め・当月25日払い4月25日に4/1〜4/15分(日割り)を支給
20日締め・当月末日払い4月30日に4/1〜4/20分(日割り)を支給

日割り計算が必要なケース

月の途中入社で締め日までの日数が1ヶ月に満たない場合、日割り計算が必要です。一般的な計算方法は以下のとおりです。

日割り給与 = 月給 ÷ 所定労働日数(または暦日数)× 実働日数

日割り計算の分母(所定労働日数か暦日数か)は就業規則の定めに従います。

新入社員の社会保険料の控除タイミング

社会保険料の控除タイミングは、会社が翌月徴収当月徴収かによって異なります。

  • 翌月徴収の場合:4月1日入社 → 4月分の保険料を5月支給の給与から控除開始
  • 当月徴収の場合:4月1日入社 → 4月分の保険料を4月支給の給与から控除開始

多くの中小企業は翌月徴収を採用しています。翌月徴収の場合、最初の給与では社会保険料の控除がない点に注意してください。

計算例:月給22万円・4月1日入社(翌月徴収・東京都)の場合

項目4月支給の給与5月支給の給与
基本給220,000円220,000円
健康保険料(9.91%の半額)0円10,901円
介護保険料(40歳未満は非該当)0円0円
子ども・子育て支援金(0.23%の半額)0円253円
厚生年金保険料(18.300%の半額)0円20,130円
雇用保険料(0.55%)1,210円1,210円
源泉所得税4,980円2,680円

※標準報酬月額22万円、雇用保険は一般の事業(従業員負担0.55%)で計算。源泉所得税は扶養親族なしの場合。

住民税の取り扱い

新卒入社の場合

新卒で入社した従業員は、前年の給与所得がないため(学生アルバイトの所得が一定以下の場合)、入社1年目は住民税がかかりません。住民税の特別徴収が開始されるのは入社2年目の6月からです。

中途入社の場合

中途入社の場合、前職の市区町村から届く「特別徴収税額通知書」に基づいて住民税を控除します。前職で普通徴収(自分で納付)に切り替わっている場合は、「特別徴収への切替届出書」を市区町村に提出して切り替えます。

2026年の初任給動向

2026年の大卒初任給は全国平均で約24万円と過去最高水準を更新しています。人手不足を背景に、中小企業でも初任給を引き上げる動きが広がっています。

初任給の設定にあたっては、以下の点を考慮しましょう。

  • 同業種・同地域の水準との比較
  • 既存社員との賃金バランス
  • 社会保険料の事業主負担(給与の約15%)を含めた人件費の試算
  • 最低賃金(2025年10月改定の地域別最低賃金)を下回っていないか確認

よくある質問(FAQ)

Q. 試用期間中も社会保険に加入する必要がありますか?

はい。試用期間中であっても、社会保険の加入条件を満たしていれば加入が必要です。「試用期間中は未加入」とすることはできません。

Q. パート・アルバイトの社会保険加入条件は?

2024年10月から、従業員51人以上の企業では、週20時間以上・月額賃金8.8万円以上・2ヶ月を超える雇用見込みのパート・アルバイトも社会保険加入の対象です。従業員50人以下の企業では、おおむね正社員の4分の3以上の労働時間・日数が加入基準となります。

Q. 子ども・子育て支援金は新入社員にも適用されますか?

はい。子ども・子育て支援金は、子どもの有無や年齢に関係なく、すべての健康保険加入者が対象です。新入社員も社会保険に加入した月から対象になります。

Q. 入社書類の収集が間に合わない場合は?

社会保険の届出期限(5日以内)に間に合うよう、入社前に必要書類リストを送付して準備を促しましょう。マイナンバーの収集が遅れる場合は、届出時に「届出時にマイナンバーが届いていない」旨を備考欄に記載し、後日届け出ることも可能です。

まとめ

新入社員の入社手続きは、書類の収集から社会保険届出、初回の給与計算まで短期間に集中します。特に2026年は子ども・子育て支援金の新設や源泉所得税の改正があり、例年以上に注意が必要です。

チェックリストを活用して漏れなく対応しましょう。

  • 入社前:書類チェックリストを送付し、扶養控除等申告書は最新様式を使用
  • 入社後5日以内:社会保険の資格取得届を届出
  • 初回給与:社会保険料の控除タイミング(翌月徴収なら初回は控除なし)を確認
  • 子ども・子育て支援金(0.23%)の計算を忘れずに

2026年4月のその他の制度変更については「2026年4月の給与計算で変わること総まとめ」もあわせてご確認ください。

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参考:被保険者資格取得届の提出|日本年金機構

参考:雇用保険制度|厚生労働省