給与計算ラボ

給与計算、社会保険と税金の知識

そもそも、給与とはなんだろう?労働基準法の「賃金」・社会保険の「報酬」・所得税の「給与所得」はみな違う?

給与、給料、賃金、報酬?給与って何?

会社経営をしていて従業員を雇う場合、働いた対価を渡しますよね。
さまざまな呼び方があると思います。
給与、給料、賃金、報酬。
これらは法律的に名称が異なっています。
一体どのように異なるのでしょうか。

労働基準法の「賃金」

賃金とは、労働基準法が定める労働の対象です。
労働基準法だけでなく、雇用保険法、労働保険徴収法でも使用されます。
雇用主が従業員に支払うすべてのものが賃金です。
ちなみにこれには、権利も含まれますし、現物も含まれるのです。
企業からの支給される従業員の賃金のことですので、役員報酬は含まれません。
あくまで労働者を対象とした用語です。
そのため、役員であり従業員である場合は、賃金と報酬となり、会計上の項目が別々になってしまいますので注意が必要です。

社会保険の「報酬」

報酬は、民法上の言葉です。
民法では、委任契約の対価と雇用契約の対価が定められています。
委任契約の対価とは、役員報酬のことですね。
株式会社は、会社の運営を株主総会などで役員に委託します。
そして役員はその運営の対価として役員報酬を受け取るのです。
一方で労働者はどうかといいますと、会社と労働者の間の雇用契約によって支払われるものとなります。
仕事内容や労働時間を定めて、双方で合意した上で、従業員が会社に労働力を提供します。これが雇用契約です。
そして雇用契約の対価が賃金となります。
健康保険法、介護保険法、厚生年金保険法などで使用されている用語です。
労働の対価としての意味合いが非常に強いです。
たとえば給与や給料とは扱いが異なります。
ですので正規雇用の従業員でなく、アウトソーシングや外注での金銭の付与を表す場合は報酬と言う名称が使われることが多いのです。
そして外注や請負契約で報酬を支払う場合は、正規従業員の給与とは扱いが異なりますので、たとえば請求書などが必要になります。

所得税の「給与所得」

給与と給料は若干異なります。
給料は使用人に対して雇用主が支払う報酬のことです。
そして給与は、その給料に諸手当を含めたものを言います。
この両者を含めて、所得税上の給与所得となります。
給与所得の中には、役員報酬や従業員の賃金が含まれます。
つまり所得税の徴収率にかかわってくるものなのです。
たとえば、現物支給でもここに含まれます。
モノであったり、商品であったり、食事の現物支給も含まれますし、値引の物販も該当します。低金利での貸付もここに含まれますし、創業の記念品なども含まれるのです。

言葉によって、法律上の用語が異なってくる

同じ労働の対価でも、法律上の扱いが変わってくるので用語も変わるのです。
企業経営で報酬に対する法律を定めたものは、
労働基準法、雇用保険法、労働保険徴収法、健康保険法、介護保険法、厚生年金法、そして所得税法です。
労働者の賃金においては、労働基準法と雇用保険法と労働保険徴収法が対象となります。
健康保険法、介護保険法、厚生年金法では役員報酬と労働者の賃金の両方が対象になります。役員報酬から各種保険や年金も引かれていますよね。
そして所得税法も役員報酬と労働者の賃金が適用対象になります。
どちらももらう側からすれば所得には変わりありませんので、所得税の対象になるのは明らかです。

会計上の違いはありません

簿記として帳簿をつける場合には、これらの区別はありません。
会計上はまったく一緒のものです。
従業員に給与を支払った場合は、全額費用計上できます。
もちろん所得税や住民税、社会保険料を控除した額を支給します。
源泉所得税は、源泉徴収税額表を利用して計算しましょう。
たとえば給与であれば、役員に対してのものは役員報酬・役員賞与であり、従業員や使用人に対してのものは、給料手当て・退職金であり、アルバイトやパートなどの非正規雇用社員に対してのものは、雑給と呼ばれます。

社長は賃金を受け取れません。

社長は給料を支払う側ですので、労働基準法や雇用保険法で定める賃金は、社長が従業員に支払うものですので、社長は賃金を受け取れないと言うことになります。
すなわち、労働基準法や雇用保険法からの適用外になり、社長は労災保険や雇用保険の適用を受けられなくなるのです。
社長が受け取るのは報酬です。では誰が社長に支払っているのかと言うと、これは法人が社長に支払うと言う形になります。
そのため、個人事業主の場合は、健康保険にも厚生年金にも入れないと言うことに鳴ります。

税率は同じです

たとえば直接雇用関係にある従業員に支払うのが給与で、そうでなくて直接雇用関係にないものに支払うのが報酬です。
そのため、所得税を納付するときは給与と報酬で申請する用紙が異なります。
報酬は複数から受け取ることが前提ですので確定申告が必要です。
税金に関しては、確定申告をすることによって全員同じ税率で課税されます。

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