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労働時間と休憩時間、守れていますか?労働基準法を再確認してみよう

労働時間と休憩時間は事業所によって、業態によって、従業員の立場によってさまざまに定めていることでしょう。労働時間と休憩時間は、だいたい1日8時間働き、昼休みを1時間とり、週に1~2回休みにすればいい、というものではなく労働基準法に定められた時間を守らないといけません。

労働時間にルーズであれば、従業員に規定以上の労働を課すこととなります。きちんと管理・計算されていれば残業となるべきところ、いい加減に目をつぶり実質サービス残業となってしまうと、現在厚生労働省は厳しくこれを摘発しています。事業主は莫大な未払い残業分の支払い命令を受けたり、逮捕される例もあります。

これを機会に、御社の労働時間と休憩時間が、きちんと労働基準法にのっとっているのか再確認してみましょう。

1. 「労働時間」のルールを確認しましょう

労働時間について、一般の事業場では①1日8時間以内、なおかつ②1週に40時間以内でなければなりません。「以内」というように「以」の字がつくときにはその数字を含んで考えます。この場合1日8時間ちょうどまでは良いですが、それを1秒でも超えるとルール違反です。特殊事業場の場合には1日8時間以内、なおかつ1週に44時間以内、と定まっています。これらの規定を超えて労働させてはいけないのです。(ただしこれらは就業規則での変則休日制や、残業についての労使協定によって変更することができます。)

一般事業場の①1日8時間以内、かつ②1週に40時間以内、で考えてみましょう。

1日8時間で月~金曜は働き、土日が休みなら①②とも満たしており適正です。1日6時間30分で休みが毎週土曜のみ、でも①②を満たしており適正です。しかし、一日11時間働くが週に5日休みならば、②は満たしていますが①が満たせず適正ではありません。

(1)労働時間とはなんでしょうか?

労働時間を労働基準法に合わせよう、としてもそもそも労働時間とはなんでしょうか?勘違いしないよう、定義を把握しておきましょう。労働時間の基本的定義は「業務命令なら労働時間」だということです。つまり、会社の命令や指揮(これは上司や経営者から下される指揮命令ですね)によって従業員が労働する時間は労働時間となります。これには2つの条件が入っていることにお気づきでしょうか。まず、①会社から指揮や命令があること、そして②従業員が会社に労務を提供していること、という2つの条件を満たしている時間は労働時間ということになるのです。
これをもとに考えれば、会社の規定や指揮・命令によって、始業時刻から終業時刻までの従業員が拘束される時間から休憩時間を差し引いたものが、一日の労働時間になります。

(2)客待ち時間は労働時間でしょうか?

労働時間というためには2つの条件が要るといいました。①会社の指揮命令と②労務の提供です。
では、こんな場合はこの2つの条件を満たしている、つまり労働時間として考えるべきでしょうか?例えば、美容室やブティックで顧客が店内におらず客待ちをしている時間、コールセンターで電話を待っている時間、などは②の条件を満たしていないように見えます。しかし、一見仕事をしていないように見えていても、顧客や電話がきたらすぐに仕事にとりかかれるよう待機する、という義務に服しています。この間従業員は休憩時間のように自由に過ごしてよいわけではなく、労働時間ということになります。

では、仕事を始める前にする準備や、作業終わりにする清掃の時間はどうでしょう。これは、①の会社の指揮命令の条件に判断が左右されますね。指揮命令下であれば、労働時間となります。
テレビ局に入社してからのアナウンサー研修、保険会社の入社後の保険に関する資格試験講習、などの研修や学習のための時間は、参加が義務であれば労働時間ですし、自由参加であれば労働時間にはなりません。これは健康診断のようなものも同様です。通常の健診は従業員の健康管理のため自由意思による参加ですから労働時間ではありませんが、放射線などを扱う職場の健診などは就業する上での義務ですから労働時間となります。

2. 休憩時間のルールを確認しましょう

(1)休憩時間は、労働時間数によって決まります。

具体的には、6時間までの労働時間ならば休憩時間は設けなくても構いません。8時間までならば45分以上の休憩時間が必要です。8時間を超える場合には1時間以上の休憩時間を設けなければいけません。

たとえば、事務系などで9時出勤18時退社の場合には、従業員は会社に9時間拘束されますが、その内訳は1時間の昼休みと8時間労働でルール通りです。旅館の従業員は客の退室後次のチェックインまで午後3時間ほどの休憩時間があるものです。この場合朝9時に出勤し夜8時まで11時間拘束されても3時間休憩と8時間労働でルールを守っています。

このように休憩時間はルールより長くても違法ではありませんが、短いと違法になるので注意が必要です。また、事務員さんが一人なので、昼休み中も電話番をさせることはないでしょうか?これは実は違法です。これは休憩時間ではなく労働時間にカウントされますので、ほかの従業員がいる時間帯に別途休憩時間を与えなければ違法となります。

(2)休憩時間は労働時間の途中で与えます

8時間労働で1時間休憩があればいい、ということで9時出勤18時退社だけれど休憩は最後の1時間ということにして17時に退社することにしょう、というのは違法です。きちんと労働の途中で休まないと従業員の心身の休憩にならないからですね。

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