給与計算ラボ

給与計算の方法、流れ

初めての給与明細の作り方、いろいろな給与明細を見てみよう (テンプレート)

初めて給与明細を作る、ということは事業をはじめて間もない経営者、または経理担当者、ということになるでしょうか。もしアルバイトでも正社員でも、他者に雇用されて仕事をしたことがある人ならば、自分が給与日にもらった給与明細を見たことがあるでしょう。

給与の総額はこれだけあるのに、税額やいろいろな社会保険料が差し引かれてどんどん目減りしますが、通勤手当だけはプラスされて、結局この金額か、という何やら細かい項目が並んでいました。その細かい項目の並んだ給与明細を従業員の数だけ初めて作る、とすれば、とにかく既存のテンプレートを利用するのが早道でしょう。

(1)文具店にある雛型

テンプレートといえばweb上のものを想像しがちですが、何もweb上のもののみとは限りません。文具店にはいろいろな契約書や申請書などの雛型=テンプレートが売られています。オフィスがコンピュータ化される少し前までは、なんでも手計算・手書きです。大規模な会社では独自の給与明細用紙を印刷会社に作ってもらって毎月記入するか、文具店にあるような既存の雛型に記入しました。文具店にある給与明細の雛型も1枚ずつになっているもの、複写式で従業員に手渡すものと会社用控えが同時に作られるもの、伝票のように束になっているものなどいろいろです。もし、従業員がひとりだけ、という場合にはこうしたペーパーに手書きで所定項目を埋めて手渡すのが早い、ということを考えるかもしれません。

ところが、手書きでテンプレートに記入するには、給与明細の内容について完全な知識が必要です。明細書に記載する数字を算出する知識です。そして、シフト制の仕事で時給計算などがあると、とたんに手書き・手計算では能率がぐんと下がります。

何より、文具店に並んでいるのは一般的かつ最低限の項目欄のあるものばかり、業種や雇用形態によってさまざまな給与明細に対応することはできません。

(2)web上のテンプレート

そこで便利なのがweb上で給与明細が作成できるテンプレートです。文具店にあったペーパー並みの単純明快なものはもちろん、検索すればさまざまなテンプートがヒットします。多くの場合は無料でダウンロードができ、初めて給与明細を作成する場合には強い味方ですが、実際に使おうとすると、帯に短しタスキに長し、なのです。

基本型

まずは給与額に、必須の控除項目がついている基本型ともいえるタイプがあります。エクセルで数字を埋めていき、プリントアウトすれば給与日に従業員に手渡すことができます。この基本型に、前払い金などの給与明細に発生しやすい項目を付加して、各々特化を図っています。

基本型のなかにはシンプルであるものの、A4サイズの用紙の上部3分の1ほどで明細が終わってしまい、用紙の下部に大きな空白の生じるような、少しレイアウトの悪いものなど、作成者によってその工夫や美意識は色々です。同じくエクセルによる基本型でも罫線や項目欄の文字などにカラーを使用し、給与の額や控除について一目瞭然の見やすいものもいくつもあります。基本型で足りない項目は、各自空欄を使って補充します。もちろん給与計算に関する知識は必要です。

時給アルバイトや派遣スタッフ向け

時給アルバイトや派遣スタッフ向けの給与明細の作成には、勤務時間の算出や、従業員ごとの時給の差異、派遣先の待遇の違いなど、固定給の従業員の給与計算とは違った作業が増えます。そのような場合に便利なテンプレートが勤怠管理と給与計算が併記されるタイプです。こちらも基本型同様に不足項目を補充して使います。残業時に自動で時間外の時給計算をしてくれるようなテンプレートが便利です。

これは自社で時給アルバイトを雇用している場合には便利ですが、派遣社員向けには不満が残るものが多いようです。昨今、工事現場の人手不足から、派遣事業は大手に限らず、小規模の事業者でも労働者を少人数派遣することは少なくありません。少人数であっても派遣先が違えば給与明細に反映すべき内容は違ってきます。各種手当や社会保険など派遣先ごとにひとつのテンプレートで間に合わせるとすれば、空欄を使用して記載すべきことが増え、能率的ではないようです。やはり、給与計算の知識は必要です。

カスタマイズタイプ

業種や勤務形態に合わせて、カスタマイズする部分の多いテンプレートです。自由に使える範囲が多いのは魅力である反面、場合によっては、いちから作るのとさほど違いのない手間がかかることも予想されます。

結論としては、いっかい限り、ほんの少人数用に使用するならばweb上のテンプレートは良いのですが、毎月きまったものを、ということになると文具店の雛型との違いは、手書きでなくプリントされて見栄えのよいもの、web上で作成できるのでプリントアウトせずにペーパーレスが可能なタイプもある、という程度の違いしか感じられない可能性が大です。

(3)本当に便利なテンプレートはあるのか

実はあります。給与明細を初めてつくるのですから、テンプレートは型があればよいものではなく、給与額をインプットすれば正しく給与計算をしてくれるものであることが大切です。給与計算をかわってやってくれるものでなければ意味がありません。さらに、時間がかかってはそこに人員とその労働時間を奪われます。
そこでおすすめなのが、次のような条件を満たすタイプです。

  1. 従業員ひとりあたり数分程度で完了できるもの。
  2. 給与計算の専門知識がいらないこと。所得税額や控除額の計算はおまかせできるもの。
  3. プリントアウトしなくてよいもの。
  4. Mac、iPad、スマホ、どのような環境でも対応できるもの。 
  5. 専門担当者と給与計算の専用時間を要せず業務の空き時間にどこからでもできるもの。
  6. さまざまな給与の支払い方、業種、さらには複数事業にも対応できるもの。
  7. ここが大切。給与計算に大金のかからないもの。

初めてでも簡単に給与明細が作成でき、しかも無料で始められ、または形態に応じて安価に簡易に使えるテンプレートが、実はあるのです。

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