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給与明細、支給項目とは?支給項目に書く内容をチェック

給与明細とは、支給する給与がどうしてその金額になるのか、詳しい内訳を記載した書面です。そのうち支給項目は、いろいろな差し引き計算前の、支給のもととなる金額を記載する欄です。

そもそも給与明細は4つの項目からなります。勤怠項目、支給項目、控除項目、支給額、の4つです。給与明細の給与ということば、今更どんな意味か説明はいらないという印象ですが、給与の定義を正しく述べよ、と言われたら言葉につまりませんか。そもそも給与とはどんなものか、その定義が4つの項目のうち支給項目に大きく関連しています。

(1) 労働基準法の賃金

給与とは労働基準法でいうところの「賃金」のことをいいます。

労働基準法の賃金とは、「賃金、給料、手当、賞与その他名称の如何(いかん)を問わず、労働の対償として使用者が労働者に支払うすべてのもの」と定義しています。難しい言い方ですが、平易に言えば「賃金と呼んだり給料と呼んだり、いろいろな名前で呼ばれるけれども、その名前がどのようなものであっても労働と引き換えに雇用主から労働者に支払うすべてのもの」が賃金だということです。

ですから賃金の内容はその職種や業種によって違いがありますし、事業所によってその名称はさまざまです。それが支給項目の欄内のひとつひとつの内容に反映されています。

上記の賃金の定義からいいますと、基本給や各種手当は労働の対償ですから賃金に含まれることがわかります。一方、災害見舞金や結婚の祝い金などは労働の対償ではなく、事業主の好意などの任意的な意思によって払われるものですから賃金には含まれません。しかし、これにも例外があります。見舞金や祝い金であっても、就業規則や労使協定などによってあらかじめ条件が決まっており、その条件に沿って支給されるのであれば賃金となります。労働の対償として、そのような場合(災害や結婚の場合)に支払われるもの、と考えると労働基準法の定義に合います。

(2) 支給項目に書く内容

労働者に支払われる基本給や手当が支給項目に記載する内容です。その内容は自由です。自由とはいっても多くの事業主は次のような手当を設けているか、職種によって特別の手当を追加しているのではないでしょうか。

1 基本給

勤務年数や職務能力などに応じて支給される本給、職能給、職務給などです。支給項目のなかで、否、お給料のなかでもっとも基本となるものです。昇給などの変更要因がない限り、定額となっていることが多いでしょう。ただし、時間給の労働者の場合はここが定額とはなりませんね。

2 残業・休日出勤手当

規定の就業時間を超えて仕事をしてもらった従業員にその分の割り増し給与を支給するためのものです。

3 役職手当

社長、専務、部長、課長、などの肩書がつくと、この役職手当によってお給料があがります。責任が重くなる分その手当が支払われる、という考え方です。

4 資格手当

事業所によっては資格や免許をもつ労働者に資格手当を支給します。支給する必要があるのは給与規定に規定されている場合です。

5 技能手当

事業所の業務に役立つ技術や能力、資格などをもつ労働者に支給するものです。例えば、不動産会社では宅地建物取引主任者、介護施設では介護資格を持つものなどに支給されることがあります。③の資格手当もそうですが、入社後に資格や技能をあらたに身に着けた労働者にはこの手当が付加されることになります。

6 家族手当

扶養すべき親族の数やその年齢によって支給されます。給与規定に家族手当を設けている場合には、従業員が結婚や出産で家族の数が変動した場合には会社に申告して、この家族手当の変更をします。

7 住宅手当

従業員全員に社宅を用意できれば、従業員は安心ですがそうできる事業主はそれほど多くないはずです。また、社宅があっても入居せずに別のところに住みたい、という従業員もいるでしょう。その場合、従業員は住宅の購入費用や賃貸料で社宅入居者よりも多くの出費を余儀なくされることが殆どです。こういう従業員に住宅手当として一定の金員を補助する手当です。

8 単身赴任手当

事業主の命令で転勤する結果、家族と離れて単身赴任する場合、一か所に家族がまとまって住むよりも多くの生活費がかかります。家賃や水道光熱費の基本料などもろもろの経費が二か所分になるのです。従業員のこのような負担の補助に支給するのが単身赴任手当です。

9 危険手当

事務所内で事務を執ったり、取引先を相手に営業をする仕事に比べて、危険をともなう仕事があります。高いところや、海上、高所での仕事、危険な物を扱う仕事、などその種類はさまざまです。本人も高度な注意を余儀なくされますが家族も心配するでしょう。このような危険な仕事をしてもらう場合に支給する手当が危険手当です。

10 寒冷地手当や僻地手当

とても寒く雪深い事業所(支店や支社も)などの従業員は温暖な場所に住むよりも労力や経費がかかります。通勤のたびに毎朝車の雪をおろす、事務所の雪かきをする、暖房費燃料費がかかる、などです。また僻地勤務の場合も街中に住むのと比べて不便で余分な経費を必要とします。そのような場合の手当です。

11 教育手当

学校に通う年齢の子供をもつ従業員に教育費の補助として支給される手当です。

12 通勤手当

通勤にかかる経費を事業主が負担する手当です。非課税のものとそうでないものがあります。

13 精勤手当や皆勤手当

勤怠状況によって支給される手当です。

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