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病院、医院の賞与(ボーナス)の特徴をご紹介します

病院や医院では、職員に支払う賞与のどれくらいの金額で、どのような特徴があるのでしょうか。今回は、病院や医院の賞与の特徴をご紹介します。

病院、医院の賞与の特徴~まず減額されない~

人間は病気になる動物です。しかも、病気は景気に左右されることなく、どんな人でも病気になります。人間は病気になると病院や医院に行って治療を受けますので、人間がいる限り病院を必要とする人がいなくなることはないのです。しかも、日本は高齢化社会に突入し、病院ではますます人手が必要になってきています。

従って、病院や医院は、よほどずさんな経営をしない限り、経営不振によって、賞与や給与が減額されることがないのが、最大の特徴と言えるでしょう。

病院、医院の賞与の時期

通常、病院や医院では、年に夏と冬の2回の賞与を医師や看護師、薬剤師、事務員などの職員に支給します。
賞与の時期は、各病院や医院によって違い、夏の賞与は、6月から8月の間に支給し、冬の賞与は12月か1月に支給するのが通例です。

職種や経営者によって変わる病院、医院の賞与

病院や医院の賞与の特徴と一口にいっても、病院にはさまざまな職種の人を雇用しているため、賞与の支給額や特徴もさまざまです。

では、病院や医院が雇用する主な職種について、特徴と支給額をご紹介しましょう。

医師の賞与の特徴と支給額

どんな病院や医院にも必ず医師がいますが、医師の賞与の平均支給額は約100万円です。医師の平均年収が1,000万円を超えていることから算出すると、医師の平均賞与支給額は月給の1カ月分となり、異常に低いように感じる人も多いでしょう。
医師の平均賞与が低いことについては、公立の病院の医師は公務員であるため、公務員と同じ賞与支給率になるのに対し、民間の病院の多くが医師には年俸制を採用しているため、そもそも賞与を支払わないというカラクリがあるのです。

では、公務員である医師の賞与はどれくらいなのでしょうか。

人事院が発表した国家公務員給与等実態調査によると、医療職俸給の基準が推定ではありますが、賞与の支給金額は月給の4.5カ月分、平均で320万円です。

公務員である医師の賞与の特徴は、景気や病院の経営事情に関係なく、公務員としての安定した支給金額であることでしょう。公務員ですので景気がいいからといって、支給金額が上がることはありませんが、景気が悪いからといって減額となることもありません。

看護師の賞与の特徴と支給額

看護時の賞与の特徴は、勤務年数が増えると急激に支給金額が増える傾向があることです。

看護師の賞与は勤務年数により、月給の1カ月分から6か月分と支給額に大きな開きがあり、勤務年数1年目の看護師ならば、1カ月分などに押さえられ、勤続年数3年目には2.5カ月前後くらいが相場になります。

看護師の平成27年度の平均賞与支給額は83万円です。

あまり知られていませんが、公立の病院では、看護師も医師と同様に公務員と同じ扱いになります。国立病院であれば準国家公務員であり、県立や市立の病院であれば地方公務員になります。

公務員の看護師の場合の賞与の支給金額は、月給の4カ月分、平均で150万ほどです。
公務員の看護師の賞与の特徴は、やはり景気に左右されず確実に夏と冬の賞与があり、かつ毎年着実に金額が上がっていくことでしょう。

薬剤師の賞与の特徴と支給額

薬剤師の賞与の特徴は、病院や医院によって支給金額に大きな幅があることです。

同じ病院勤務でも、私立の大学病院勤務と地方の医院の勤務では、賞与に1~2カ月の開きがある場合があります。しかし、薬剤師は需要に対して、供給が足りていないため、全体的に優遇する傾向があるのも事実です。

薬剤師の平成27年度の平均賞与支給額は75万円です。

医師や看護師と同様に、国立や市立の病院に勤務する薬剤師も公務員になります。
公務員の薬剤師の賞与の特徴は、意外なことに、薬剤師の資格が国家資格であるにもかかわらず、一般職の公務員より低いことです。しかし、確実に夏と冬の賞与があり、年々確実に金額がアップすることを考えると、民間の賞与事情に比べ、かなり優遇されていると言えるでしょう。

栄養士の賞与と支給額

栄養士の賞与は、薬剤師や看護師に比べると、さほど高額ではなく、月給の2.4カ月という程度でしょう。

栄養士の平成27年度の平均賞与支給額は57万円です。

医療事務の賞与と支給額

医療事務の賞与は、地域や病院、医院によって支給金額に大きな差があり、一般的には月給の2カ月~4カ月が相場です。

また、医療事務は需要に対して、供給が溢れているため、ときには冷遇してしまう傾向があります。

受付の賞与と支給額

病院や医院の受付の場合、一般事務職と同様の扱いをする病院や医院が多く、賞与の支給金額は月給の1カ月分から3カ月分が相場になります。

病院、医院の賞与の特徴のまとめ

病院や医院の賞与は、それを経営する団体または個人により、支給する時期も金額もさまざまです。しかし、病院や医院を必要とする人がいなくなることもありませんし、よほどずさんな経営をしない限り病院が倒産することもありませんので、総じて安定した賞与を支給することができると言えるでしょう。

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