給与計算ラボ

業種別の給与計算の注意点

カラオケなどサービス業の給与計算 - 深夜の勤務やトラブルの対応

カラオケなどのサービス業の給与計算の特徴と心がけたいこととしては、パートやアルバイト雇用が多いこと、店長等に長時間労働が多いこと、営業時間の多くが夜間であること、アルコールが入るので客とのトラブルが起こりやすいこと、などが挙げられます。

まず、パートやアルバイト雇用が多いことにつきましては、カラオケ店などの場合は、店長などは除いて、通常の業務に携わるのはほとんどがアルバイトやパートです。ですから、アルバイトやパートに特有の給与計算や労務管理上の問題があります。

それは、まず、ほとんどが有期労働契約により雇用されるということであります。有期雇用契約の場合には、採用の段階で、契約の期間、契約更新の有無、更新時の判断基準などを書面により労働者に明示しなければなりません。これは、有期雇用契約の場合には、退職時にトラブルになる事が多く、それを防ぐために、採用の段階で、雇用する側の意思表示を明確にしておくことが必要だからです。

また、法人の場合には、社会保険の強制適用事業所に該当しますから、ある程度の長期の雇用期間で採用され、正社員の所定労働時間及び月の所定労働日数の4分の3以上の労働時間・労働日数で勤務する労働者などは、パートやアルバイトであっても健康保険や厚生年金保険の社会保険に加入させる義務があります。

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なお、個人経営のカラオケ店の場合は、労働者が何人いてもその事業所は社会保険の強制適用事業所にはなりませんので、任意加入の申し込みをする場合は別ですが、一般的には加入させる義務はありません。

雇用保険は、週20時間以上で31日以上の継続勤務で対象になりますから、例えば、極端に短い雇用期間と所定労働時間を設定した場合を除けば、大半は対象になります。この規定は、個人でも法人でも区別なく適用されます。

労災保険の場合には、パート・アルバイト・日雇労働者・不法就労者を含む外国人労働者等の名称を問わず、事業主との間に使用従属関係があり、かつ、労働の対価として賃金が支払われていれば、事業主に加入義務が発生します。これらの労働保険・社会保険は労働者が安心して働くためには必要不可欠なものですから、適用要件に該当した場合には、きちんと加入させる必要があります。

負担の大きくなりがちな店長などの待遇

第二に、店長等に長時間労働が多いことが挙げられます。先に述べましたように、カラオケ店などではパートやアルバイトが多いですから、その反動として、店長等に業務が集中して、大変な長時間労働を生じる事があります。個人経営の場合は別ですが、法人経営でチェーン店を構成しているような場合には、そのチェーン店の店長は普通は労働者に該当しますから、時間外労働が発生した場合には、残業代の支払が必要になります。

よく、管理監督者の権限と実体がないにもかかわらず、「店長」という名前だけで、管理監督者には適用されない労働時間・休憩・休日の規定を無視して、残業代を支払わないで過酷な長時間労働に従事させる問題が、こういった形態の事業所に起こる場合があります。

特に、入社して2~3年の若い社員を「店長」にする場合には、裁判ではほとんどが労働者性と残業代の支払が命じられますから、こういった店長に対しては、正確な労務管理としっかりとした残業代の支払を行い、過度の長時間労働による労働者の健康障害を防ぐべきです。

深夜勤務の割増賃金と健康管理

第三に、営業時間が夜間にかかることが多いことです。カラオケ店などでラストオーダーが午後11時だとか午前0時だとかいうところは沢山あります。従いまして、労働時間が深夜労働の時間帯にかかることもしばしばです。それは、接客業という立場上仕方のないことではありますが、深夜労働をした場合には、きちんと深夜割増賃金を支払う必要があります。

また、深夜営業のあるところでは、労働者の健康管理も重要です。もちろん、年中無休24時間営業があたりまえの介護事業所や病院などに比べると、深夜労働が労働者の健康に与える影響は小さいですが、それでも、ある程度の影響はありますから、それらについても一定の配慮をする必要があります。

また、終業時間が深夜になる場合も多くなりますから、帰宅中に交通事故に巻き込まれることがないように、日頃から交通安全に関する指導、また、過度に疲労した職員を深夜営業には使用しないなどの、配慮が必要です。

お客様とのトラブルや勤務時間内の事故の対応

最後に、夜間営業とも関係がありますが、カラオケ店は飲み会の二次会でよく利用されたりします。従いまして、お客さんにアルコールがはいっていることがよくあります。従って、接客態度が悪いと暴力を振るわれたり、警察沙汰になるようにこともあります。

従いまして、普段から、そういった客に対する接し方や、事件が起こった場合の対処方法などを、接客に関わる労働者全員に対して行っておく必要があります。接客中に相手方から一方的に暴力を振るわれて負傷した場合には、労災の適用になる場合もありますので、そのような場合には、労災の手続きが必要になります。

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