給与計算ラボ

給与計算、社会保険と税金の知識

住民税ってどうやって天引きするの?給与計算処理の流れを教えます

住民税は前年1年分の所得に課される税金です。つまり1年遅れで課税されるのです。

ですから今まで働いたことのない新入社員は前年の所得がありませんので、初めの年度は住民税がありません。それと反対に会社をやめて収入がなくなっても前年の給与所得についての住民税がやってきますから、会社をやめる人は翌年支払うべき住民税を保持しておく必要があるのです。

1、住民税の計算処理はこの順です。

住民税の計算は、じつは御社がするのではありません。市区町村がするのです。しかしその算出方法を知っておけば、翌年いかほどの住民税が課税されるのか把握できるとともに、従業員からの問い合わせに回答することもできます。

計算処理その1は1年間の総所得金額等から各種所得控除をマイナスすることです。所得とは何も給与所得とは限りません。御社の銃牛飲の所得は御社の給与以外に、家業による所得、不動産所得、雑所得など何の所得があるかわかりません。この総所得の把握は市町村がマイナンバーによってもれなくすることになります。

計算処理その2は、その1でだした課税所得金額に税率をかけることです。こうして出てきた金額が算出税額です。従業員はその金額を翌年に支払います。

ところで、その1でマイナスした各種所得控除にはどのようなものがあるでしょうか。

たとえばこんな控除が受けられます。

社会保険料控除や小規模企業共済掛け金控除は支払った額全額が控除されます。生命保険料控除は控除2.8万円が控除されますが、一般+介護医療+年金で再興8.4万円まで控除可能です。地震保険料控除は最高2.5万円が控除できます。障害者控除は一般26万円、特別30万円が控除されます。配偶者控除は33万円、扶養控除は一般一人当たり33万円が控除されます。そして基礎控除が33万円あります。

言わずもがなですが、控除が多ければ多いほど税率をかける所得額が減りますので住民税は安く済むことになります。控除の例を見てわかるように、独身で健康で暮らしに負担のすくない人は控除が少なく住民税が高く、反対に障害をもっていたり扶養家族を抱えたり暮らしの負担の多い人ほど多くの控除が受けられ、住民税は安く済むことになります。

2、税率は一律10%です。

前項で計算処理を説明しました。計算処理その2で税率をかけて住民税額を算出しましたが、その税率はどうなっているのでしょうか。お金持ちほど多く税を払う累進課税でしょうか?

実は、住民税は一律10%です。ですから、住民税を抑えるものは税率ではありえず、控除しかない、ということになります。

3、住民税は従業員が自分で納めてもかまいません。

住民税は所得税同様に、確定申告することができます。多くの給与所得者はわざわざ申告をするのではなく所得税の確定申告書によって市区町村が計算して納税者に通知し納付を促します。従業員はこの納付書を使い自分で納付することができます。この方法を直接納付といい、普通徴収と呼ばれます。

ただし、原則は源泉所得税と同じく会社が給与から住民税分を控除して預かり、従業員の代わりに納める方法をとっています。これを特別徴収と呼びます。こちらの特別徴収の従業員の給与計算では住民税控除が必要となります。

4、住民税は毎月徴収して翌月納付します。

ほとんどのサラリーマンは確定申告をしていません。しかし市区町村はきちんと個人個人の給与所得を把握して翌年の住民税額を通知して寄こします。これは、会社が各従業員に支払った給与の支払い報告書を従業員の住所地の市区町村に送るからです。そう、つまり給与支払い報告書の送付は新年度の給与計算のための会社の大切な仕事になります。ところで、給与所得者がほかの所得もあるような場合に市区町村はもれなく所得を把握したいものです。

そのとき役立つのが新しくできたマイナンバーです。複数個所からの給与や所得があってもマイナンバーで市区町村は当該一人の所得として把握でき合算が可能なのです。ところで、この総所得の内訳を知ることができるのは市区町村のみです。従業員がほかの所得内訳を会社に知られるわけではありません。

ちなみに、会社から「給与支払い報告書(総括表)」の市区町村への提出は毎年1月末にします。

市区町村では送付された報告書をみて、各従業員の住民税を算出し、5~6月に会社に津牛します。これを特別徴収通知書といいます。この額を会社は従業員の給与から毎月控除して。翌月10日までにそれぞれの市区町村に納付します。

5、半年に一回の納付にできる場合があります。

毎月給与から控除した住民税は翌月10日までに会社から市区町村に支払うのが決まりでした。しかし、従業員が少ない会社がたとえば数千円の納付を毎月するとしたら、手間を省きたくなることでしょう。給与を受け取る人は常時10人未満の事業所では、市区町村の長の承認を得れば、半年に一回の納付にしてもらうことができます。

その場合、6~11月分の住民税は12月10日までに、12~5月分の住民税は6月10までに納めればよいことになっています。

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