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給与計算の方法、流れ

賞与(ボーナス)の金額、どうやって決めますか?実際にある決め方をご紹介します

賞与を支給するときの金額は、経営者にとって悩みの種です。どんぶり勘定で金額を決めている企業もあれば、算定基準に則って賞与の金額を決めている企業もあります。
今回は、実際にある賞与の金額の決め方をご紹介します。

賞与(ボーナス)の考え方

企業は従業員の仕事への報酬としての賞与を考えたときに、結果を出した人には報いる、結果を出さなかった人には報いないという考え方が必要です。

生活の費用に補てんするために賞与を支給するという考え方もありますが、最低賃金法などの法律を守っている限り、企業が賞与を支払わなくても、法律によって罰せられることはありません。賞与は会社に対する貢献度の具体的な評価として、従業員に支払われるべきものです。

賞与(ボーナス)の金額の決め方

賞与の金額の決め方は、企業によってさまざまですが、代表的な賞与の金額のきめ方をご紹介します。

小企業に多い定額方式

規模の小さい企業で、役職が複雑に分かれていない場合や、設立して間もない企業に適用されることが多い方式です。
役職一律20万円、一般職一律15万円、パートやアルバイトに一律1万円など、一定額を支給します。

給与連動方式は日本の伝統

月の給与に対し支給率をかけて支給する方式で、従来の日本の企業の一般的な金額の決め方です。
支給率は月数とすることが多く、例えば、支給率のベースを月の給与の3.0カ月分とし、評定により、2.5カ月から3.5カ月の範囲で支給するなどとします。

最近のトレンドは利益配分方式

始めに賞与として支給する金額のトータルを決め、支給率を評価による支給率、スキルによる支給率、調整による支給率から、1人1人の従業員への支給金額を決める方式です。

賞与金額(ボーナス)の決め方 ~利益配分方式~

利益配分方式は、現在の企業で主流になっている支給金額の決め方ですので、決め方を詳しくご紹介します。

始めに総支給額を決定する

まず始めに、四半期などの決算から、賞与として支給できる総支給額を決定します。

次に総支給額を、評価による支給総額、スキルによる支給総額、調整による支給総額の3つに分配します。分配比率の配分は、例えば、評価による総支給額を7割、スキルによる総支給額を2割、調整による総支給額を1割などです。

評価により支給額を決定する

始めに勤務状況や会社への貢献度から、従業員の評価をランクづけして、ポイントを割り当てます。例えば、ランクをS、A、B、C、Dの5つに分け、それぞれにポイントを10、9、8、7、6と割り当てると、以下の計算式で、各従業員の評価による支給額が決まります。

評価の1ポイントに対する金額
          =評価による総支給額÷(各ランクの人数×各ランクのポイント)の総和

各従業員の評価による支給額
         =1ポイントに対する金額×各従業員のポイント

スキルにより支給額を決定する

次に役職や資格などから、評価による支給額と同じように、従業員のスキルの評価をランクづけし、ポイントを割り当てると、以下の計算式で、各従業員のスキルによる支給額が決まります。

スキルの1ポイントに対する金額
          =スキルによる総支給額÷(各ランクの人数×各ランクのポイント)の総和

各従業員のスキルによる支給額
         =1ポイントに対する金額×各従業員のポイント

調整の支給額を決定する

次にそれぞれの部署の事情や、年齢などの調整部分を、評価による支給額と同じようにランクづけし、ポイントを割り当てると、以下の計算式で、各従業員の調整による支給額が決まります。

調整の1ポイントに対する金額
          =調整による総支給額÷(各ランクの人数×各ランクのポイント)の総和

各従業員の調整による支給額
          =1ポイントに対する金額×各従業員のポイント

各従業員の賞与支給額

各従業員の賞与支給額は、評価による支給額、スキルによる支給額、調整による支給額を加算したものになります。

賞与の支給額の計算例

総支給額を1,000万円、賞与対象の従業員数を50人とした会社の部長職Aさんの賞与の計算例をご紹介します。

<条件>
総支給額:1,000万円
賞与対象従業員数:50人
賞与分配比率:評価による支給総額7割(700万円)
          スキルによる支給総額2割(200万円)
          調整による支給総額1割(100万円)

評価ランクとポイント:S(10P)、A(9P)、B(8P)、C(7P)、D(6P)
評価ランクと人数:S(2人)、A(3人)、B(5人)、C(10人)、D(30人)

スキルランクとポイント:S(10P)、A(9P)、B(8P)、C(7P)、D(6P)
スキルランクと人数:S(2人)、A(3人)、B(5人)、C(10人)、D(30人)

調整ランクとポイント:A(2P)、B(1P)、C(0P)
スキルランクと人数:A(10人)、B(20人)、C(30人)

Aさんのランク:評価ランク(A)、スキルランク(B)、調整ランク(B)

<評価によるAさんの支給額>
評価の1ポイントに対する金額
          =7,000,000円÷(10×2+9×3+8×5+7×10+6×30)
         =20,771円
評価による支給額=20,771円×9P=186,939円

<スキルによるAさん支給額>
スキルの1ポイントに対する金額
          =2,000,000円÷(10×2+9×3+8×5+7×10+6×30)
          =5,934円
評価による支給額=5,934円×9P=53,406円

<調整ランクによるAさんの支給額>
調整の1ポイントに対する金額
          =1,000,000円÷(2×10+1×20+0×30)
          =25,000円
評価による支給額=25,000円×1P=25,000円

<Aさんの賞与支給額>
Aさんの賞与支給額=186,939円+53,406円+25,000円
         =265,345円

賞与(ボーナス)の金額の決め方のまとめ

賞与の金額の決め方は、企業によってさまざまです。無理な金額を捻出する必要はありませんので、ご紹介した賞与金額の決め方をご参考にしていただき、会社の実情に即した金額を支給しましょう。

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