給与計算ラボ

業種別の給与計算の注意点

薬局の給与計算 - 複数の職種の給与と労務の管理

薬局の給与計算の特徴としては、主として相談業務を行う薬剤師、事務の仕事をする事務職員、レジ打ちや品出し・日常用務を行う従業員などが混在していること、離職率(入職率)が高いこと、処方箋以外の商品を扱うドラックストアが急増し、競争が激化しているので、業務全体の効率化が求められていること、などが挙げられます。

複数の職種を扱う給与計算、労務管理の難しさ

第一につきましては、薬剤師は正社員、事務職は正社員又はパート、レジ打ち品出し業務は原則としてパートなど、複数の身分・職種が存在することになりますから、単一の身分・職種で運用される事業所にくらべ、給与計算や労務管理が複雑になります。また、雇用期間は正社員が期間の定めのない契約、パートは原則として有期雇用契約となります。

賃金・賞与につきましても、職種間で計算方法は異なりますし、手当につきましても、薬剤師などにはそれなりの資格手当を付けなければなりませんし、その他の職員にも場合により皆勤手当や精勤手当を付けた方が良い場合があります。こられを、職種に応じて適切に決定しなければなりませんから、結構大変です。

特に、薬剤師は労働者が売り手市場で、良い人材の確保が難しく、また、優秀な薬剤師を確保して薬に関する相談業務の質を向上することは売り上げに大きく影響しますから、薬剤師の賃金や手当の水準には特に気を使わなくてはなりません。高ければ高いにこしたことはありませんが、会社の利益との関係がありますから、適切な水準を定めなければなりません。

また、複数の職員の身分が存在する場合には、単一の職員の身分で構成される職場に比べて、摩擦が起きやすいですから、特に職員間で不満がたまらないように配慮する必要があります。正社員のみを優遇して、その他の職員を極端に冷遇するような処遇は、法律的にも違法ですし、全体の士気を下げますから、慎むべきです。

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入社、退職時の対応

第二については、先にも述べましたが、薬剤師の労働市場は、売手市場で、薬剤師は転職が容易なので、良い条件の他の薬局があれば、簡単に転職する傾向があります。また、レジ打ちなどのパート職員も、これは薬局に限った事ではありませんが、全体として、雇用期間は長くなく、特に仕事が出来なくて会社から問題視されているとか、大きなトラブルを起こしたというような理由が無くても、有期の雇用期間の満了をもって、別の仕事に転職して行かれる方が相当いらっしゃいます。

従いまして、必然的に、離職率(入職率)が高くなる傾向があります。このような状況下では、退職に伴う手続き、採用に伴う手続きが頻繁に必要になりますから、それらを的確に行う必要があります。そういう雇用環境の下では、勤務先に関わらず被保険者期間が通算される厚生年金や、次の仕事を探すまでの期間の間の所得保障である雇用保険が大切になってきます。正社員として採用されたものの転職の場合は特に問題はありませんが、パートさんの場合には、社会保険の未加入がよく問題となります。

法定の被保険者の要件をみたさない雇用条件での採用の場合には加入の必要はありませんが、要件に該当する場合には、雇用保険・健康保険・厚生年金保険にきちんと加入させることが必要になります。

また、未払い残業代などがある場合、この退職の際に、従業員が労働基準監督署に駆け込んで発覚することが非常に多くなります。従って、特に離職が頻繁に起こる薬局では、労働時間の正確な管理と超過労働に対するきちんとした残業代の支払が肝要です。

給与計算のアウトソーシング

第三についてですが、最近は本当にあちらこちらにドラックストアが出店しています。ドラックストアでは処方箋が必要な薬品は販売が出来ませんから、真っ向から薬局と競争することにはなりませんが、それでも大きな脅威になる事は変わりありません。そのような環境下では、薬局側も業務効率の改善など経営努力を強いられます。

そこで、例えば、薬局のオーナーなどが、よりお客様との相談業務に時間を費やすため、また、よりよい薬品をお客様に提供することに時間を費やすために、給与計算のような業務は、外部の専門の会社にアウトソーシングすることも良いかと思われます。

そうすれば、経営者の方は、本来の業務に集中できます。そういう受託会社は、通常は労務管理の相談や、その手続きも受託しております。また、元々専門業者ですから、そういった業務に関しては、薬局の方が行うより、より短時間にかつ的確に行う事が出来ます。

さらに、そういう激しい競争の中では、より優秀な薬剤師を採用し、また、長期間勤務してもらえるような、賃金制度をはじめとした各種の労務に関する制度の構築が不可欠ですし、その他の職員の方々も接客などでお客様に高い満足を与えられるように、優秀な人材の確保とその後の業務上の教育が重要になってまいります。

そういったことに関しても、受託会社からアドバイスを受ける事が出来ます。もちろん、そういったことまで他人に頼らず自分でできれば一番良いですが、複雑化した現代社会においては、上手に他人の力を借りる事も重要ですから、そういったアウトソーシングを検討することも、業務改善の方法の一つとして検討すべきです。

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