給与計算ラボ

給与計算、社会保険と税金の知識

従業員を雇う前に知っておきたい、毎月、毎年の給与計算の流れ

会社を運営するには欠かせない給与計算事務

給与計算事務は以外と忙しい仕事です。

毎月のフローを書きますと、

  1. 従業員の移動などの人事情報の整理
  2. 労働日数や労働時間の集計
  3. 給与計算と給与明細の発行
  4. 給与の支払い
  5. 社会保険料と所得税の納付

といった流れになります。

毎月の給与計算の流れ

人事情報の整理

従業員の家族構成の変化によって、扶養控除の額が変わったりなどしますので、注意が必要です。
また人事異動があればそれに伴い給与の額が異なります。
住所の変更等があれば通勤手当や住宅手当なども変わってきます。
退職した社員がいれば給与計算の対象からはずす必要があり、このため人事情報の正確な把握が必要なのです。

労働日数、労働時間の集計

タイムカードを集め、残業届けなどと照合しながら、各労働者の出勤日数、休暇日数、残業時間、労働日、休日出勤などの出勤情報を把握します。

給与計算と給与明細の発行

給与計算は、まず総支給額を計算します。基本給や役職手当や扶養手当などの固定的なものから開始します。
毎月変動する残業手当などを計算します。
それから、欠勤などのマイナスを計算します。
税金などの計算は、このマイナスを省いた金額から計算されるからです。
その後、控除額を計算します。
厚生年金保険料、健康保険料、介護保険料などを計算します。
雇用保険料も計算します。
所得税を計算します。
住民税を計算します。住民税は一定です。
労使協定により控除する財形や組合費を計算します。
差し引き額を計算すると給与明細書が完成します。
本人に給与明細を渡し、控えは会社で保管します。

給与の支払い

給与の支払いを行います。現金の場合は金種が何枚ずつ必要か計算しましょう。
最後にあまった場合は最初から計算しなおしです。
振込の場合は振り込み依頼書を作成します。給与ソフトを使っていれば依頼書も自動で作成できますし、ネットバンキングとあわせれば窓口に行く必要がありません。
支給日に支給します。現金の場合は給与袋を渡し、振込の場合は明細書を渡します。

社会保険料と所得税の納付

控除した各種税金は預かり金ですので、会社負担分と合わせて役所に納付する必要があります。
社会保険料は翌月の末日まで、所得税は翌月の10日までになります。

書類の準備

給与関係の資料を残しておく必要があります。
労働者名簿、賃金台帳、出勤簿などを作成します。

給与事務の年間スケジュール

給与事務は年間を通してやることがあります。
毎月の給与計算だけをしていればいいというものではないのです。

1月の給与計算業務

労働保険の納付
給与支払い報告書を市町村役場に提出
源泉徴収票、報酬等支払調書を税務署へ提出

3月の給与計算業務

健康、介護保険料率改定に対応

4月の給与計算業務

健康、介護保険料率改定額を徴収

6月の給与計算業務

夏季賞与を支給する場合は準備する 、住民税の特別徴収新年度分を開始

7月の給与計算業務

健康保険・厚生年金保険月額算定基礎届を年金事務所か健保組合に提出
労働保険料・概算確定保険料申告書を労働局に提出して納付
高年齢者雇用状況報告書、障害者雇用状況報告書を職安に提出

9月の給与計算業務

厚生年金保険料率の変更に対応

10月の給与計算業務

労働保険料第2期を納付する

11月の給与計算業務

年末調整事務を準備する
扶養控除申告書、保険料控除、配偶者特別控除申告書を回収
冬季賞与を支給する場合は準備する

12月の給与計算業務

年末調整事務を行い各人に源泉徴収票を渡す
上記のように、一年を通して仕事があります。
特に、市町村へ給与支払い実績を報告して市民税の計算に役立てたり、頻繁に改定がある社会保険料率の対応に追われます。
賞与が発生する際は賞与にまつわる計算も行う必要がありますし、労働保険もこまめに収めなければ労働者への保障ができなくなります。
また年末調整等も給与計算事務の仕事のひとつです。
扶養控除申告書、保険料控除、配偶者特別控除申告書などをちゃんと提出してこない労働者には、個別に提出を依頼する必要があります。
毎月の給与計算事務のサイクルのほかに、年間を通しての業務もありますので、注意してください。
ですが給与計算のフローは一年を通じて大きな変更はありませんので、なれれば手早く業務をこなすことができるでしょう。

給与事務をアウトソースする

給与計算を社員に行わせず、外注するケースも増えてきました。
社会保険労務士事務所で給与計算事務を請け負っているケースがあります。
また給与計算事務そのものは資格が必要ない業務ですので、事務の請負を行っている会社もあります。
帳簿などの記帳代行と合わせて、依頼を検討してみてもいいでしょう。
事務員を自社で雇うと20万前後のお金がかかりますが、アウトソースすれば月数万円でプロフェッショナルによる完璧な給与計算事務サービスを受けることができます。
これからの時代は給与計算事務はどんどん派遣や外注に置き換わっていくことでしょう。また給与計算ソフトも充実していますので、計算等に苦労する必要はなくなります。
事務はどんどんアウトソースを検討しましょう。

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