給与計算ラボ

支給と控除、社会保険

従業員と役員、給与計算の違いとは

役員報酬と従業員の給与

会社を経営している役員への報酬は、役員報酬となります。
雇用契約を結んでいる従業員への報酬は、給与となります。

その違いはどこでしょうか。

たとえば、役員報酬をもらっている人は被雇用者ではありませんので、雇用保険には加入できません。
つまり会社が倒産しても失業保険はもらえないのですし、労災が起きても労災保険は適用されません。

労働基準法は従業員を守るものだからです。

ですので役員報酬と給与の違いはまず、雇用保険が天引きされない点です。
それから役員は残業手当も付きません。残業手当も労働基準法の管轄だからです。

役員報酬の決め方

会社を運営するに当たって、役員報酬の額をいくらにするかは悩みどころです。
会社の利益を抑えて役員個人に利益を残すようにする方法もありですし、会社利益を大きく残して黒字化し、会社を成長させると言う方法もありえます。

また役員報酬の場合は、所得税・住民税・社会保険料がかかりますが、会社の所得にした場合は、法人税・事業税・県民市民税がかかります。
どちらにせよ税金を支払うことになるので、個人に利益を残すか、会社に利益を残すかは悩みどころです。
目安としては、

  • 利益1000万円までは全額役員報酬にすると損しません。
  • 利益1000万円〜3000万円までは法人所得が800万円で調整すると税負担が最小になります。
  • 利益3000万円〜5000万円までは役員報酬を2500万円程度にすると税負担が最小になります。

これを参考にしてください。

ただし、個人のお金にする場合と、法人の利益にする場合では、同じお金でも自由度がまったく異なります。
売り上げに直結するお金、つまり経費が多い場合は法人の利益にすると良いでしょう。

個人的な用途にお金を使いたい場合は役員報酬を厚めにしたほうがいいかもしれません。
また役員報酬を手厚くしておけば、将来的に厚生年金なども多く受け取れます。

役員報酬は確定申告が必要ありません。

役員報酬は変更がありません。ですので年末調整の時点でほぼ所得税は確定していますので、確定申告は必要ありません。
ただし2社以上で報酬を受け取っている場合は、確定申告が必要です。

役員報酬は法律で厳しく制限されています

税逃れのために役員報酬を不当に高くしたり、会社を私物化したりすることを避けるために、また租税回避を防止するために、役員報酬に関しては法律で厳しく制限されています。

一事業年に一回役員報酬が決められ、毎月同じ時期に同じ金額を支払うと言うのが原則です。途中で変更はできませんし、利益調整などに使ってはいけません。

また資金繰りが悪化したなどの理由でも調整できません。
役員報酬の総額は、株主総会で決まります。

上場企業では役員報酬1億円以上の場合、開示義務がありますが、それ以下の場合は知られることはありません。
株主であっても知ることはできません。役員のプライバシーが守られているのです。

役員の賞与について

役員報酬と退職金は、あまりに過大でない限りは、費用として認められます。
ですが賞与に関しては費用になりません。
つまり、賞与はできるだけなくして、役員報酬として支払ったほうが節税になるのです。

役員報酬が未払いの場合の源泉所得税

さまざまな理由で役員報酬が未払いの場合、源泉所得税はどうなるのでしょうか。
基本的に源泉所得税は、支払われた所得に対して発生するものです。

ですので未払いの場合は源泉徴収は行われないことになりますし、納付の必要もありません。
ですが、これはあくまで理屈上の話で、実際の税務の話になると変わってきます。
源泉所得税の支払がない場合、税務署は役員報酬の金額を把握できず、税務調査の際にもめごとの原因になります。

なぜなら役員報酬を使って利益調整をしたり、あとから後付で役員報酬を決めて税金逃れをすることができるからです。
そのため、実務上は未払いの役員報酬であっても、源泉徴収を行い、税務署に納付する必要があります。

銀行がどう思うかを考える

役員報酬を手厚く設定すると、会社そのものの利益が圧迫されてしまいます。
そうすると会社の業績が好調とはいえなくなるため、銀行に経営状況を説明するときに非常に苦しくなります。
銀行は法人の利益を重視しますので、赤字が続いているところには融資してくれません。

そういったことも考えて役員報酬を設定する必要があるでしょう。
ですが個人資産も大切です。

役員報酬はゼロにするのは避けましょう。
役員報酬が低ければ社会保険料などをおさえられて節税になります。

ただしゼロにしてしまうと、国保に加入する必要が生まれ、手間がかかります。
役員報酬をあまり取りすぎずに、決算書を黒字にしてしっかりと納税する必要があります。

銀行はそれを評価しますし、帝国データバンクなどの調査会社も、独自の評定基準で決算書の内容や事業内容また役員報酬額などを基準に信用度を判定します。

大手企業と取引する際にはこの信用が非常に重要になります。

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