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アルバイトやパートにも有給休暇があるって本当?

有給休暇は労働基準法によって定められている、労働者の権利です!と聞けば、正社員だけの特権でしょう?と思うのも無理はありません。しかし、アルバイトやパートタイマーでも条件を満たせば有給休暇は、付与されるのです。アルバイトでもパートでも労働者にはかわりがない、という考え方です。また、パートタイマーとアルバイトは呼称が違っても労働基準法上は同じ労働者として扱われ差はありません。

1. 労働日数で差を設けて公平に

週5日勤務の正社員と、それよりも勤務日数の少ないパートタイマーやアルバイトに公平に年次有給休暇を与えるようになっています。これを「年次有給休暇の比例付与」といい、週の所定労働日数に応じて調整された有給休暇日数が付与されることになっているのです。

2. どんな人に比例付与するの?

年次有給休暇を比例付与される従業員とはどんな勤務をしている人でしょうか。これについて労働基準法が規定しています。まず、①週所定労働時間が30時間未満の従業員であること、が条件です。そして、A)週所定労働日数4日以下か、B)年間所定労働日数216日以下のいずれかに該当する従業員に比例付与されます。つまり①とA、または①とBを満たす従業員です。

ところで、上記の条件を満たさず比例付与とならないパートタイマーは有給休暇をもらえないのでしょうか?そうではありません。比例付与となる条件がないので、勤務時間が正社員より短くても正社員と同じ日数の有給休暇が貰えるのです。これを当てはめると、少し不思議なことがおこります。具体的に見てみましょう。

佐藤さんは、週に4日、1日6時間のパートタイマーです。週に24時間で4日以内ですから①Aに該当し、正社員と比べて少ない有給休暇日数が比例付与されます。次は、鈴木さんです。鈴木さんは週5日働いていますが、小さい子がいるので1日3時間だけです。この場合は、週に15時間で①は満たしますが5日なのでAもBも満たしませんから、比例付与の対象とならず、なんと正社員と同じ日数の年次有給休暇が付与されるのです。

週に24時間働く佐藤さんよりも、週に15時間働く鈴木さんは多く有給休暇が貰えるという結果になります。これは法律ですので仕方がありませんが、佐藤さんからみても、また正社員から見てもなんとも納得しがたい不思議な結果かもしれません。一回に長く働く負担よりも、日数多く出勤する負担を法律は重く見て、正社員に近い、としているようです。

3. 比例付与の具体的な日数は?

週の所定労働時間が30時間未満のパートタイマーやアルバイトに比例付与される年次有給休暇日数は次の通りです。ただし、1年間の所定労働日数が48日未満の場合には有給を与えなくてもよいことになっています。

(1)週所定労働日数が4日または1年間の所定労働日数が169日から216日の人

勤続年数0.5年で7日、1.5年で8日、2.5年で9日、3.5年で10日、4.5年で12日、5.5年で13日、6.5年以上は15日が付与されます。

(2)週所定労働日数が3日または1年間の所定労働日数が121日から168日の人

勤続年数0.5年で5日、1.5年で6日、2.5年で6日、3.5年で8日、4.5年で9日、5.5年で10日、6.5年以上は11日が付与されます。

(3)週所定労働日数が2日または1年間の所定労働日数が73日から120日の人

勤続年数0.5年で3日、1.5年で4日、2.5年で4日、3.5年で5日、4.5年で6日、5.5年で6日、6.5年以上は7日が付与されます。

(4)週所定労働日数が1日または1年間の所定労働日数が48日から72日の人

勤続年数0.5年で1日、1.5年で2日、2.5年で2日、3.5年で2日、4.5年以上で3日が付与されます。
これらの付与日数は労働基準法72条の特例を受ける未成年者の年次有給休暇の付与日数などとともに厚生労働省のホームページでも案内していますが、計算式に当てはめて割り出すことも可能です。比例付与対象労働者の週所定労働日数を通常労働者の週所定労働日数(5.2日)で割った数を、通常労働者の有給休暇日数にかけた解が比例付与の日数となっているのです。

4. パートでも勤続期間に加算されます

比例付与に限らず、年次有給休暇の付与には勤続期間の条件があります。最初は6か月継続勤務した従業員に付与され、そのあとは1年ごとに新規付与されます。正社員に年次有給休暇を付与する際の勤続期間には、パート時代の勤続期間も加算されることに注意が必要です。

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