給与計算ラボ

雇用保険や健康保険など、給与計算が変わる年齢をまとめます

給与計算は毎月やってくるルーティンワークではありますが、漫然と繰り返していると思わぬミスを犯し、従業員に迷惑をかけるばかりでなく、各種税の納付にも影響を来たし、会社の信用を失いかねせん。

経営者と給与計算担当者は、いつも情報を収集し、法改正による給与計算の変更や、従業員の環境変化に対応して給与計算に反映させなくてはいけません。とくに従業員に結婚などの大きな変化があれば注意喚起も自ずとなされますが、一定年齢に達したか否か、というような変化は静かにしかし各従業員に次々と訪れる変化にも正確に対応することが大切です。

さて、その年齢変化による給与計算への影響にはどのようなものがあるでしょうか。ここでは従業員本人の年齢に関わる話と、また従業員本人に限らず年齢つながりで給与やその他支給に関する影響について説明します。

1、健康保険の被保険者は75歳で資格喪失します

健康保険の被保険者は75歳で資格喪失します。後で説明する厚生年金保険と違って、健康保険のみは従業員の75歳の誕生日当日が資格喪失日となります。「75歳で資格喪失」を「75歳になったら資格喪失」と読みかえれば、75歳の誕生日当日に75歳になるわけですから判別しやすいと思います。ちなみに、一定の障害状態にある従業員に関しては65歳で資格喪失となりますので留意しておきましょう。

さて、75歳になって健康保険被保険者の資格喪失をした従業員は、高齢でますます医療機関にいく機会が増えそうですが、健康保険証がなくなっては困らないでしょうか。これについては、平成20年4月に創設された「後期高齢者医療制度」(長寿医療制度ともいわれます。)に加入することになります。この制度においても、従業員は保険料を負担し医療給付の恩恵をうけることができるようになっています。

従業員が75歳になると、各広域連合から従業員本人には「後期高齢者医療制度の被保険者証」が交付され、会社には後期高齢者になった従業員に関する資料が送付されます。会社ではその資料が届いたら、データを確認し間違いがなければ「健康保険被保険者資格喪失届」に従業員がこれまで使用していた健康保険被保険者証を添付のうえ、会社所轄の年金事務所に提出して手続きをします。

資格喪失の月分の給与からは、もう健康保険税を控除する必要はなくなりますので、控除しないよう注意が必要です。また、後期高齢者となった従業員に扶養家族がいた場合には、その被扶養者も被保険者の資格喪失と同時に資格を喪失します。被扶養者も75歳になっていれば後期高齢者医療制度の被保険者となりますが、まだ75歳未満であれば、従業員とは別に国民健康保険に加入する必要があります。その点、従業員によく説明してあげるとよいでしょう。

では、従業員より先に従業員の扶養家族が75歳になったらどうでしょうか。その場合には被扶養者のみが被保険者としての資格を喪失しますので、「健康保険被扶養者(異動)届」に従業員本人と扶養家族の名前が入ったこれまでの健康保険証を添えて、会社所轄の年金事務所に提出して手続きをします。

従業員本人ではなくその扶養家族の年齢変化の場面ですが、これも会社が手続きをする必要がありますので、会社では被扶養者の年齢に関する管理もしておきます。

2、介護保険は40歳以上65歳未満です

介護保険料は健康保険の被保険者のうち、40歳以上65歳未満の従業員の給与から控除します。40歳に達した日から被保険者となりますが、健康保険と違って40歳の誕生日の前日に被保険者となりますので、誕生日が1日の人はその前月から被保険者となります。被保険者となった月の分の給与から控除を始めます。

ところで、会社を休業している従業員には一般に給与は支払われませんが、社会保険加入は継続していますから保険料の徴収は必要です。給与を支払っておらず控除はできないため、休業中の従業員から社会保険料を別途徴収する必要があります。ただし、産前産後休業中と、育児休業のうち子供が3歳に達するまでの期間は、会社負担分・従業員負担分ともに保険料納付は免除されます。免除は介護休業には適用されませんから注意が必要です。

3、厚生年金保険料は70歳に達した日に資格喪失

資格喪失日である「70歳に達した日」とはこの場合70歳の誕生日の前日です。健康保険との違いに留意しましょう。喪失した月からその従業員の厚生年金保険料は納付の必要がなくなりますので、給与から控除をしないよう気をつけます。

4、源泉所得税における16歳未満の子

従業員本人の年齢ではないのですが、年齢つながりの話です。源泉所得税の計算は税額表の「扶養親族等の数」で扶養している親族数によって控除所得税額を割り出します。 その際、扶養している子供のうち16歳未満の子については扶養家族親族の数に含まないことになりました。これは平成23年から変更になっています。

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