給与計算ラボ

給与計算の方法、流れ

給与明細ってなにを書くの?書くべき項目を、もう一度確認

事業者によって給与明細はさまざまなタイプがありますが、実はそのなかに記載すべき内容は、大きくいえばどこも同じです。

給与明細書は、大きく分けると4つの項目からなっています。それは、勤怠項目欄、支給項目欄、控除項目欄、支給額欄の4つです。この各項目に、従業員ひとりひとりの分を正しく算出した数字を記載しなければなりません。そしてこの作業は経営者や経理担当者に毎月やってくる作業です。

(1) 勤怠項目欄 ~まずは勤怠管理から~

勤怠項目欄には、出勤日数、休日出勤、有給休暇や特別休暇、出勤時間や遅刻早退、普通残業の時間、休日出勤における残業時間、法定休日時間、深夜時間などを記載します。

勤怠項目欄に正しく数字を入れるには、まずは勤怠管理を正しくしておく必要があります。たとえばタイムカードの押し忘れはないか、出勤簿に誤りはないか、給与計算の締日が到来したら勤怠項目欄に記載すべき事柄について早めに集計をすることが大切です。

注意:月の途中での入退職に注意が必要です。

(2) 支給項目欄 ~主に給与にプラスされる金額の項目です~

まずは基本給、そして手当です。役職手当、家族手当、住宅手当、時間外手当、休日手当、深夜手当、非課税通勤手当、課税通勤手当などがあります。事業所によっては資格や免許を保持する者への手当などもあるでしょう。給与にプラスされる金額を記載するのがほとんどですが、遅刻早退控除と欠勤控除はマイナスされます。
給与は従業員の生活を支えるものですから、最低賃金法という法律で最低賃金が定められています。地域や産業によって違いがあります。従業員の基本給の決定はこの最低賃金以上にする必要があります。最低賃金についての詳細は厚生労働省のホームページを参照してください。

厚生労働省のホームページ

支給項目の特徴は、内容を自由に決めてよい、という点です。上記の各手当のほか、夜食代や服装代、よく聞くものでは寒冷地手当や危険手当などがあります。

手当には非課税手当があります。非課税の手当は次のようなものです。

通勤手当においては、交通機関や有料道路を利用する従業員は運賃と料金の実質相当額か定期代が10万円を限度として非課税となります。また、マイカーや自転車などで通勤する場合には、距離ごとに非課税限度額が定められています。前者と後者の混合型、つまり交通機関とマイカーを使うような場合、それぞれの非課税限度額を合算して10万円までが非課税となります。

そのほか、旅費手当、宿日直料、夜食代、見舞い金が非課税です。それぞれについて、非課税になる条件や限度額がありますので、こういう手当の支給額の決定時には詳細を把握しておきましょう。

注意:昇給や減給があった場合、家族数の変更、引っ越しによる通勤手当の変動などに注意が必要です。また、各手当の課税非課税の違いは上記のとおりです。なお、減給の制裁を科す場合には限度があります。従業員に労働基準法で規定されている以上の過酷な制裁をすることはできないようになっています。

(3)控除項目~給与から差し引いて事業者が預かる金額の項目です~

各種社会保険料はここで金額を記載します。健康保険料、介護保険料、厚生年金保険料、雇用保険料があります。
そして所得税、住民税を源泉徴収のため記載します。
さらに財形貯蓄や会社でとりまとめている生命保険料などがあれば追加します。

給与には「賃金全額払いの原則」というものがあり、支給額全額を払わなければなりません。半額は来週渡します、というようなことはできない決まりです。ですが、その原則の例外が社会保険料・所得税・住民税の控除なのです。社会保険を考える場合には、給与は報酬とよばれます。一か月分の給与である報酬月額によって、社会保険料が決まります。ところで、社会保険は月を単位として計算することになっています。基本給でしたら月の真ん中の15日に入社したならば、その月の分の基本給は15日分となるでしょう。しかし社会保険料は月単位ですから、1日に入社しても30日に入社しても、まるまる一か月分の社会保険料を支払う必要があり、控除額は一か月分となるのです。

注意:ここでは、社会保険料や住民税の変更がある場合に注意を要します。たとえば介護保険料は40歳から支払い開始し、厚生年金保険料は70歳までで支払いは終了です。

(4)支給額欄

まず総支給額を記載します。控除合計額に控除すべき合計額を記載し、差し引き支給額を算出して記載します。この差し引き支給額がこの従業員がうけとる金額です。いまは給与の支給は銀行振り込みが殆どですが、現金支給もある場合には、銀行振込額と現金支給額をそれぞれ記載することがあります。

(1)から(3)のそれぞれ末尾にあげた注意点を、もれなく管理するためには、従業員ひとりひとりの情報を集約する個別マスター台帳などを作成しておくと便利です。給与明細に書くべき内容、個別マスター台帳などの内容は、高度かつ重要な個人情報です。経営者として、また給与明細書作成担当者として、厳格な情報管理をすることが、対社外だけでなく、従業員との真摯な信頼保持に直結します。

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