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新入社員が入ったら必要な手続きとは? - 雇用契約編

新入社員を採用したということは、意識しているか否かに関わらず、事業主と新入社員との間で雇用契約が結ばれています。「アルバイトさせてください。」「あ、いいよ。じゃあ明日から来て。時給はそこの貼り紙の通りだからね。」と雇っただけでも雇用契約しているのでしょうか?もちろん契約しています。

では「契約」とは何でしょうか。それは法律上意味のある約束を互いにすることで、その意思が合致した時点で契約は成立します。上記のアルバイトでいうと、「あ、いいよ。」と返答した時に、アルバイト雇用契約が締結されました。しかし、これだけで済ませておくと後で言った言わない、そんなことは聞いてない、などという問題になりますので、きちんと紙に書いて互いに「この紙に書いてある通り約束しました」と署名や押印をして証拠を残しているのが契約書です。

そういうわけで、新入社員を採用したら、たとえ短期雇用やアルバイトでも雇用契約書を作成することをおすすめします。アルバイトなのに面倒だな、と従業員に思われたとしても契約書を作成することは従業員の立場を守る、つまり事業主が恣意的に従業員の立場を貶めることのないようにすることにも役立ちます。これを説明してきちんと契約書を交わすことは御社への信頼にもつながります。

1、雇用契約書で危険を減らしておきましょう

新人を採用する際には労働条件を明示することが義務付けられています。この明示の仕方には二通りあり、ひとつは「雇入通知書」で、ひとつは「雇用契約書」です。のちのち問題になる危険を減らすのはもちろん雇用契約書です。雇入通知書では、「これこれの条件で、あなたを雇います」というだけの書類ですから、従業員がその内容で承諾して契約をした、つまり「意思の合致があった」証拠にならないからです。

証拠になっていなければ紛争の際に「互いの意思の合致はどういうものだったのか」を裁判で立証するという面倒なことが必要になります。それに対して雇用契約書があれば、互いにこうしましょうと約束した内容が書いてあるので安心なのです。そういうわけで、雇用契約書の中身につき互いが納得したことを確認し、事業主と従業員が記名・押印して証拠とします。

2、雇用契約書締結の手続きによって社員を教育できます

雇用契約書には、雇い主と社員のそれぞれの義務が書いてあります。何時から何時まで働く、という社員の義務や、それに対して雇い主は給与を支払う、という雇い主の義務などです。こういう契約書記載の条項を説明し締結していく過程で、新入社員は自分の義務をきちんと確認することができます。また、社員は就業規則を守ること、守らない場合は場合によって就業規則により懲戒があること、などを契約書に盛り込むことで社員は就業規則を守ることの大切さを認識します。

契約書や就業規則内容について、入社時にきちんと説明し手続きをすることはかなり大切です。労働者と雇用者とのトラブルのほとんどは、これによって防ぐことができるからです。反対に、こうした手続きをしない雇い主を従業員は「面倒がなくていい」と喜ぶかと思えば、そうではありません。「いい加減な会社」「契約書を交わさないのは、都合が悪くなったら逃げるつもりだろう」と不信感を抱きつつ働くことになり、離職の容易さにもつながるものです。

3、契約期間をフル活用しましょう

契約書には「契約期間」を必ず記載します。たとえば「2016年4月1日から2年間」「2016年4月1日から2018年3月31日」という決め方です。(ちなみに、法律上期間の計算には例外を除いて初日は参入しません。ですから、前者の決め方の場合4月1日は参入せず、4月2日を第一日として計算すれば、後者と同じ2年後の3月31日で満了となります。)

さまざまな契約書にこの契約期間がありますが、なんとなく書いておくあまり意味のないもの、という印象はないでしょうか。実は意味はおおありなのです。契約した以上、この契約期間内には雇用契約や就業規則に記載されているような重大な問題がない限り社員を解雇することはできません。社員のほうも、この期間内は働く義務があります。
そして、契約期間につきものの「更新」を、原則更新とせずに「契約期間満了前に双方の意思が合致したら更新できる場合がある」としておけば、雇い主の危険回避に有利です。

アパートの賃貸契約のように一方から申し入れがない限り原則更新されるのが当たり前、という契約にしておいたらどうでしょう。解雇するような重大な不良行為まではなくても、会社にとってよくない社員でも原則、雇用契約を更新せざるを得ず、これをしないことは労働者の地位を不当に奪うことになり雇い主の責任が発生します。

しかし、契約書に「更新する場合がある」としておけば、契約期間満了時に更新しないでおくだけで、スムーズにその社員に去ってもらうことができるのです。

4、いまいる社員との雇用契約書も見直しましょう

既存の社員とまだ雇用契約書を交わしていないならば、「当社は雇用契約書を作成することになりました。」と全社員と契約書を締結し、契約期間などの記載を変更したい場合には社員に通達し契約書を変更しあらたに記名押印してもらいましょう。

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